1953年の創業以来、私たちの「最も音楽的な音」を求める旅は、音楽への情熱にインスパイアされ、絶え間ない完璧さの追求に突き動かされてきました。ニューヨークで、そして日本においても、マランツのサウンドマスターとエンジニアたちは、その品質、耐久性、エレガンスで定評のあるオーディオコンポーネントを生み出してきました。ここでは、
マランツがオーディオに革新をもたらした70年を共に振り返りましょう。
オーディオ録音の黎明期、レコードの録音特性には一貫性がなく、レーベルごとに異なっているという状況でした。1952年、音楽愛好家で、フリーランスのグラフィック・アーティストで、アマチュア・ミュージシャンでもあったソウル・バーナード・マランツは、当時としては画期的なプリアンプを開発しました。 ‘Audio Consolette’ は、様々な録音特性に対応するために必要なイコライザー・カーブをすべて備えており、すぐに彼の友人たちの心を捉えました。
ソウル・マランツはキッチンのテーブルで1台目のAudio Consoletteを作り上げました。その出来栄えに感動した彼の妻や友人たちは、もっと多くを作るよう彼に勧めました。最初の100台のAudio Consoletteは瞬く間に完売し、さらに多くの注文が寄せられました。大量の受注残を抱えたソウルは、1953年にマランツカンパニーを設立し、ニューヨーク州クイーンズのウッドサイドに工場を開設しました。
1954年、マランツはAudio Consoletteを発展させたモノラル・プリアンプModel 1を発表。Model 1は、驚くべきサウンドダイナミクスで愛好家や批評家から賞賛されました。その性能は今日でも音楽用プリアンプの記念碑的なものとして記憶されています。そしてModel 1の後にも、数々の象徴的なコンポーネントが登場しました: プリアンプ Model 7(1958年)、パワーアンプ Model 9(1960年)、FMステレオ・チューナー Model 10B(1962年)です。
Model 9はスムーズなコントロールと安定したパワーを実現し、そのユニークなアーキテクチャは、アポロ宇宙計画で使用するためにNASAによってカスタマイズされました。
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60年代後半には、Model 18が登場しました。プリアンプ、パワーアンプ、チューナーをひとつの筐体に収めたレシーバーで、マランツ初の「ジャイロタッチ」チューニングを採用した製品でした。その他にも、22XシリーズやModel 500が登場しました。ブルーのメーター、マランツ特有の書体、左右対称のノブ、刻印が入ったシャンパンカラーのフェイスプレートなど、マランツのデザインは進化を遂げていきました。
70年代、マランツは比類なき信頼性という評判に基づく広告キャンペーンを展開し、成功を収めました。その広告では、大火災の中でも壊れることのなかったModel 2270が取り上げられました。そのレシーバーは外観に大きな損傷を受けたものの、動作は正常で、工場出荷時の仕様をすべて満たしていました。
1980年、デジタル時代の幕開けとともに、オーディオ史の転換期が訪れました。マランツは、ターンテーブルTT1000シリーズを発売し、自身のルーツであるアナログオーディオへのこだわりを守りながら、デジタル時代へと突入していきました。1982年秋に発売されたオリジナルのCD-63は、市場で最も早く大量に販売されたCDプレーヤーのひとつでした。90年代には同型番のCD-63が発売され、そのスペシャルバージョンであるCD-63 mkll KI Signatureは、マランツ史上最も音楽的なCDプレーヤーとも言われています。そして1991年、マランツは初のCDレコーダーCDR-1を正式に発表しました。CDR-1は、今日において高音質CD録音のスタンダードとして記憶されています。
当初KI Signatureプレーヤーは、正式に発売される予定ではありませんでした。マランツ・ヨーロッパのブランドアンバサダーであった石渡健は、CD-63 SEの改良に取り組んでおり、その試作機を自身のリスニングルームに置いていました。ある日、石渡はうっかりその試作機を使って、ある記者に新しいアンプのデモを行いました。彼は非常に感銘を受け、このアンプを一般に発売するよう石渡に勧めました。
2002年、スーパーオーディオCDソフトの普及に合わせ、日本マランツは8年ぶりに高級セパレートアンプ、プリアンプSC-7S1とパワーアンプMA-9S1を発売しました。これらはデジタルオーディオ新時代のランドマークとなるセパレートアンプでした。SC-7S1とMA-9S1のフロントパネルには、マランツ・デザインを象徴するポートホールとブルースターがあしらわれていました。
2016年、マランツは新たなリファレンスモデルであるSACDプレーヤーSA-10とプリメインアンプPM-10を発売し、パフォーマンスの基準を更新しました。新たなオーディオ・スタンダードを確立したマランツ・ミュージカル・マスタリング(MMM)は、デジタルからアナログへの変換プロセスを独自の回路で行うことで、デジタル音源からあらゆるニュアンスを完璧に引き出すことを可能にしました。
2020年には MODEL 30, が登場しました。その名称はマランツ初のプリメインアンプにちなんだものでしたが、一方でそのモダンなインダストリアルデザインはブランドの新たな方向性を象徴するものでした。2022年、マランツはネットワークストリーミング技術とHDMI ARCを搭載したプレミアム・プリメインアンプMODEL 40nを発表。そしてその年の後半には、 CINEMA Series. シリーズによってホームシアター体験を一変させました。最先端のテクノロジーにインスパイアされた美しいデザインを纏うCINEMAシリーズは、マランツの進化し続ける革新的なスピリットと優れたデザインへのこだわりを体現しています。